『チャーリーとの旅』
スタインベックは古典だと思って読んだことなかったのだけど、1902-1968とわりと最近のひとでした。50代後半でプードル(でかいほう)と一緒にトレーラーで3ヶ月かけてアメリカを横断した紀行文。年代でいうと60年代初頭くらいなのだろうか、その頃のアメリカのひとたちの暮らしがかいま見られる。トレーラーハウスで暮らすひとたちの描写では、前にピンチョンの「ヴァインランド」を読んだときその住居形態はどんな職業のひとたちのものなんだろう?と不思議に思っていたけれど、当時はそれほど変わった形態ではなかったのかもしれない(今はどうなんだろう?)仕事が変われば住む場所も変わるし、その度に土地にしばられることなく移動できるという終身雇用制が当然(だった)戦後日本では考えにくいライフスタイルだけど、これから流行って都心のコインパークはトレーラーパークに変わったら面白いなと思いながら読んだ。南部について、やはり差別の問題が大きくスタインベックをつかんでいる。50年前に黒人大統領が生まれるなんて想像できなかっただろう。
これは最晩年に近い作品で、そのあとに書かれた「アメリカとアメリカ人」も読んでみようと思う。
「木こりは売春宿で木を切り、森で女を抱く」ってどういう意味?