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『レジリエンス 復活力--あらゆるシステムの破綻と回復を分けるものは何か』

瞑想とかマインドフルネスといったキーワードからレジリエンスについて知りたくなったのだと思う。

システムの脆弱性を増幅するのは複雑さ、集中度、同質性であり、レジリエンスを高めるのは適正な単純さ、局所性、多様性である。
「社会的証明」つまり、ひとはどんな種類の報奨よりも、周囲の人々の行動に影響されるという概念だ。(中略)レジリエンスが発揮される環境を整えるには、システムをモジュール化し、ネットワークを構成し、オープンで汎用性の高いプロトコルで連携すること。分散された構成要素に人工知能を吹き込むこと。人々に正しい情報と動機を与えること。このようなシステムは自己と周囲の状況を完治し、混乱を予測し、動的に活動規模を調整し、必要に応じて局所的な活動に移行したり、異常箇所を文理できるようになる
社会心理学者が「ハーディネス(強靭さ)」と呼ぶ性質であり、大まかに言って三つの信念が土台となっている。(一)人生に有意義な目的を見出せるという信念(二)自分が周囲の状況や出来事に貢献できるという信念(三)経験はよかれ悪しかれ学習と成長につながるという信念。こうしたことをふまえると、信仰心の厚い人々にも比較的高いレジリエンスが備わっているという研究報告は何ら矛盾を生じない
瞑想訓練を終えた被験者は、対照群と比較して、マインドフルネス(経験を思考の動きにとらわれることなく観察できるようになること)の感覚、人生の目的意識(人生を意義深く価値あるものと考え、長期的な価値基準をもつこと)、認知的制御力(自分の人生と周囲に対する任地を制御する力)が大幅に高まり、神経的傾向(否定的感情)が定価した
人間には生まれながらのリスク許容度が染み付いていて、ある領域でリスクが軽減すると、意識的であろうとなかろうと、自分が快適と感じるリスク温度に戻るまで、ほかの領域でリスクを引き上げるというのだ
確証バイアスとは、情報の信憑性を確認することなく、自分の思い込みや偏見、仮説などを裏付ける情報を選択的に受け入れる人間の性質をさしている。(中略)確証バイアスは、自分が賛同できないメッセージを遠ざける原因になるだけでなく、遠ざけることのできないメッセージの解釈を歪曲する原因にもなっている

パラオの通訳型リーダーとレッドチーム大学のエピソードと、レジリエンスが発揮されなかった例としてのリーマン救済のための金融トップたちの会議の話がとても印象的だった。 情報は透明に提供され、効率や最適化を最優先させるのではなく、長期的視野にたった対話によって安定化を図る、そのための努力を惜しんではいけないと学んだ。

『レジリエンス 復活力--あらゆるシステムの破綻と回復を分けるものは何か』