『山椒魚戦争』
岩波文庫 カレル チャペック 栗栖 継 (訳)
古い本ですが今年のべストかも。
『園芸家12ヶ月』『ダーシェンカ』などは読んだことがあったけど、こんな面白い作家だとは知らなかった。しかも戦争中は発禁になるほどの本だったらしい。
知能をもった海に棲む山椒魚の労働力によって海洋に陸をつくる計画があるのですが、この二つの大きな島の名も、あらかじめ「新日本」ときまっていて、どちらの島にも、人口火山までつくることになっていたが、それは将来、これらの島に住む人たちに、聖なるフジヤマを思い起こさせるため
だったり、深海魚の卵黄嚢についての報告をした山椒魚がいて、その論文をあえて引用した日本の学者オノシタ博士は、学界からボイコットされて、ハラキリを行った
り、などなど海洋国日本もしばしば登場します。チェコは海のない国なのでそこに行くことのできない山椒魚がチェコの歴史についてチェコ人と語り合うシーンがとても印象的です。