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ウェイクフィールド / ウェイクフィールドの妻

ウェイクフィールド / ウェイクフィールドの妻新潮社

N・ホーソーン 柴田元幸(訳)/ E・ベルティ 青木健史(訳)

1835年のアメリカでホーソーンによって書かれたロンドンを舞台にした10ページほどの短編『ウェイクフィールド』と、ブエノスアイレス(!)生まれのベルティが1999年に書いた『ウェイクフィールドの妻』が一冊になっている本。

ホーソーンは『緋文字』で世界に認められた初のアメリカ作家といわれているそうです。

いつもだと途中であとがき読んだりするのだけど、今回は『ウェイクフィールド』、『ウェイクフィールドの妻』、もう一度『ウェイクフィールド』と読んでから柴田さんのあとがきを読んだ。わたしは覚えてないけど、『ウェイクフィールド』はオースターの『幽霊たち』でもパロディーとして使われているそうだ。

「妻」は南米の作家という先入観念もあって面白く読めた。20年にわたる物語なのに、年月の経過はたいした意味をもたず(処刑のシーンなんかは1800年代とはいえイギリスというより南米というより北朝鮮みたい)、ラストのあっけなさなんかはガルシア・マルケスの『百年の孤独』みたいだと思った。夫について書かれた200年前の小説を妻の側から書いているところ、語り手がちょくちょく読者に語りかけてくるところ、単純に物語を楽しむのとは違ってニヤニヤしながら読める本です。柴田ファンならずとも翻訳文学が好きな人にはオススメします。

関係ないけど、ガルシア・マルケスっていうお洋服のブランドがあるんですね。キワモノ系なのか真性ギャル系なのかわたしにはわかりませんでした。