exlibris

Whatever you do, Whatever you say, Yeah I know it's alright

偉大なるデスリフ

新潮文庫 C.D.B. ブライアン 村上 春樹 (訳)

この本は、ハードカバーを大学の図書館で見つけて読んだ。

ラストシーンは苦々しくて、笑いたくなるけど、哀しいような感じだったことを覚えていたけど、今回(またしても)ブックオフで105円でゲットした文庫を読み直してみると、当時とは全然違った印象だった。

まず、冒頭のモールトンが不倫相手に同情的に言ってしまう言葉が、どっちの立場からも理解できる。二十歳やそこらでは分からなかった感情だろうと思う。

そして、ドラッグから抜け出した兄とハワイで過ごすシーンがとてもよかった。この部分はギャッツビーとの関連がわからない。ブライアンがギャッツビーをなぞる他に、オリジナルとして書きたかったのはここじゃないかな?と思った。

わたしには妹がいる。ほんといいやつで、愛してるし、両親に感謝してる。うまく言えないけど、彼女にこの部分だけでも読んでもらいたいな。

後半のデスリフの部分は、ギャッツビーの時代とデスリフの時代と今のわたしたちのとのギャップが面白かった。

デスリフはわたしたちの親の世代にあたると思うけど、日本とアメリカに女性の自立とかそんな意味合いで十数年のギャップがあるとすれば、アリスみたいな(デイジーみたいな)女の子はいるのかもしれない。今でいうセレブな主婦とかかな?

最近、二コール・キッドマンが主演した映画・・・そのあたりも今観たら面白そうだ。

しかし、文庫本の表紙のイラストが中途半端に80'sで内容と合ってない。ハードカバーはもっとやわらかい絵本みたいなタッチの男女が町を歩いてるやつだったと記憶している。

「グレート・ギャッツビー」を最初に読んだのが17歳くらいで、その当時はピンときてなかった。

まあ、夏目漱石太宰治を読むように読んでおいたほうがよさそうだと思って読んだ。

大好きな「ホテル・ニューハンプシャー」でリリーがラストシーンを引用してるから、その後も何度か読み直しているけど、誰にも感情移入できない分、客観的に読める、おもしろい本だとは思う。

映画は見てないけど、ロバート・レッドフォードのギャッツビーははまってるだろうと思う。衣装はすべてラルフローレンと聞いた。それもステキだろうと思う。